ハロゲン分析

ハロゲン分析

1.ハロゲン含有量分析について

当社では材料や廃棄物に含まれるフッ素[F]、塩素[Cl]、臭素[Br]、ヨウ[I]素などのハロゲン元素の定量分析を行っております。ハロゲン元素の定量分析を必要とする主な分野を紹介します。

①塩素、臭素系のハロゲン化合物は難燃剤として樹脂製品に使用されています。しかし難燃化された樹脂製品を焼却処分すると、ダイオキシンをはじめとする有害ガスを発生し、環境汚染の原因となります。そのため電気・電子製品において、ハロゲン含有量を極力減らす材料への転換(ハロゲンフリー)が進められており、近年ハロゲンフリーを証明する分析の要求が増えております。

②塩素を含む廃棄物は、焼却処分を行う際、塩化水素ガスを発生し焼却設備を痛めたり、周辺環境を汚染することが知られています。そのため廃棄物中のハロゲン元素含有量分析を行います。

③ファインセラミックスの機能や性能は、微量不純物によって特性が変わることが知られています。そのためハロゲンの含有量分析を必要とします。

2.ハロゲン元素の主な法規制

国際規格であるIEC(国際電気標準会議)61249-2-21、米国IPC(電子回路工業協会)4101B、日本では社団法人日本電子回路工業会(JPCA)において、ハロゲンフリーの閾値が定義されております。製品・部品・素材の成分において、ハロゲンやハロゲン化合物を非含有、又はごく少量の含有量に抑えることをハロゲンフリーと言います。

塩素(Cl)含有率: 0.09wt%(900ppm)以下 塩素(Cl)及び臭素(Br)含有率総量: 0.15wt%(1500ppm)以下
臭素(Br)含有率: 0.09wt%(900ppm)以下

3.ハロゲン元素分析の方法

ハロゲン元素の定量分析は、IEC62321-3-2に準拠した分析方法で行ないます。、手順は前処理で試料を燃焼させ、ハロゲンを含む燃焼ガスを吸収液に吸収し、その吸収液をイオンクロマトグラフで測定を行います。 試料を燃焼させる前処理方法には、フラスコ燃焼法、ボンブ燃焼法、燃焼管法などがあります。

試験方法の手順(石英燃焼管法)

試験の対象となる試料を裁断・粉砕します。この試料をボートと呼ばれる磁性の容器に測り取り、1000度に加熱された燃焼管内に挿入します。加熱燃焼した試料から発生したハロゲンガスを吸収液に吸収させ、吸収液をイオンクロマトグラフで分析し、ハロゲンの定量をします。

4.環境アシストによる分析

環境アシストの分析は以下のようになります。

製品・材料中のハロゲン元素の精密分析

分析項⽬ 機器 定量下限値 必要サンプル量 結果速報(稼動⽇換算)
フッ素 イオンクロマトグラフ 50ppm 2g 8日
塩素 50ppm 8日
臭素 50ppm 8日
ヨウ素 100ppm 10日

弊社は、ハロゲン元素分析に関する試験所認定制度 ISO/IEC17025を取得しており、現在まで多数の分析事例を有しております。ハロゲン分析をご検討の際は、是非ともご相談ください。

5.トピック:ハロゲン元素について

周期表の第17族に属するフッ素・塩素・臭素・ヨウ素・アスタチンの総称。アスタチン以外は性質がよく似ており、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と典型的な塩を形成する。そのためギリシャ語の 塩 alos(ハロス) と、作る gennao(ゲンナオー)を合わせ「塩を作るもの」という意味の「halogen ハロゲン」と、18世紀フランスで命名された。代表的な非金属元素で,同位体数は少ない。 ハロゲン元素は最外殻電子(価電子)が7個なので、1価の陰イオンになりやすいのが特徴。塩素系の漂白剤に代表されるように、ハロゲンの単体は電子を受け取りやすく酸化力があるために、漂白・殺菌に使われることが多い。 原子番号が小さいものほど反応性が大きく、フッ素が一番反応しやすい。アスタチンは強い放射能と短い半減期(アスタチン210でも8.1時間しかない)のため、詳しく分っていない部分が多く、現在研究用以外に用途はない。

元素 分子式 電子配置(殻)
K L M N O
融点(℃) 沸点(℃) 常温での状態 電気陰性度 酸化力 水素との反応
フッ素 F2 2 7 -220 -188 気体 淡黄色 4.0 低温、暗所でも爆発的に反応する。
塩素 Cl2 2 8 7 -101 -34 気体 淡緑色 3.0 常温で光を当てると爆発的に反応する。
臭素 Br2 2 8 18 7 -7.2 59 液体 赤褐色 2.8 触媒を加えて高温に加熱すると反応する。
ヨウ素 I2 2 8 18 18 7 114 184 個体 黒紫色 2.5 高温で反応するが、逆反応も起きて平均に達する。