マスクフィットテストとは
計測機器等を用いて、使用するマスクの面体が“作業者の顔にフィットしているかどうか”を評価するテストです。その方法は、JIS T 8150で定められています。また、作業者の顔にフィットする面体・サイズを決定したり、不適切な装着状態を発見して是正することもできます。フィットテストに合格することで、マスクの選定と顔とのフィットが適切であると判断できます。フィットテストの頻度は1年に1回です。
当社では、「フィットテスト実施者に対する教育実施要領(令和3年4月1日付け厚生労働省通達)」に基づく研修に合格したフィットテスト実施者により、フィットテストの実施及び指導を行っております。
フィットテストが法令で義務付けられている作業
- ①金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場(2023年4月1日施行(特定化学物質障害予防規則に基づく))
- ②作業環境測定評価で第三管理区分に区分された場所(2024年4月1日施行(特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、粉じん障害防止規則に基づく))
- その他、「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」、「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」では、リスクアセスメント結果に基づくリスク低減措置としてマスクを使用する場合についても、フィットテストによるマスクの装着の確認を行うことと示しています。(2024年4月1日施行)
フィットテストの対象となる呼吸用保護具
取り替え式防じんマスク
取り替え式防じんマスク
防毒マスク
使い捨て式防じんマスク
その他
- 面体形電動ファン付き呼吸用保護具
- 面体形有毒ガス用電動ファン付き呼吸用保護具
- 面体を有するホースマスク(肺力吸引形、手動送風機形、電動送風機形)
- 面体を有するエアラインマスク(一定流量形、デマンド形、プレッシャデマンド形)
- 空気呼吸器 (デマンド形、プレッシャデマンド形)
- 循環型呼吸器(酸素発生形、デマンド形、圧縮酸素形)
フィットテスト実施者
「フィットテスト実施者に対する教育実施要領(令和3年4月1日付け厚生労働省通達)」に基づく研修を修了した者が望ましいです。
フィットテストの種類と実施方法
フィットテストには、「定量的フィットテスト」と「定性的フィットテスト」があります。
弊社では、定量的フィットテスト(短縮型)を実施いたします。
定量的フィットテスト
専用の装置を用いマスクの内側と外側の粒子濃度を測定することにより判定するため、より客観性のある計測方法です。
定性的フィットテスト
被験者の味覚(甘味成分)に対する感覚により判定を行う方法です。
実施方法
定量的フィットテスト(短縮型)の流れ
短縮方法
・半面形、全面形
写真 | 動作 | テスト時間 |
---|---|---|
|
1.前屈 | 50秒 |
2.その場の駆け足 | 30秒 | |
3.頭を左右に動かす | 30秒 | |
4.頭をを上下に動かす | 40秒 |
・使い捨て式
写真 | 動作 | テスト時間 |
---|---|---|
1.前屈 | 50秒 | |
2.発声 | 30秒 | |
3.頭を左右に動かす | 30秒 | |
4.頭をを上下に動かす | 40秒 |
合否の判定方法
定量的フィットテスト
合 格 | フィットテストの結果得られた「フィットファクタ」が 「要求フィットファクタ」を上回る場合。 |
不合格 | フィットテストの結果得られた「フィットファクタ」が 「要求フィットファクタ」を下回る場合。 |
フィットファクタ
(労働者の顔面と呼吸用保護具の面体との密着の程度を表す係数)
要求フィットファクタ
(測定したフィットファクタの値の合否を判断するための基準値)
面体種類 | 写真 | 要求フィットファクタ |
---|---|---|
半面形面体 | 100 | |
全面形面体 | 500 |
結果の記録
JIS T 8150:2021に規定される項目(被験者の氏名、確認の日時、装着の良否など)を記録します。
フィットテストの記録は3年間の保管が義務付けられています。
お客様に準備していただくもの
種類 | 説明 |
---|---|
使い捨て式 マスクの場合 |
被験者1人につき、 フィットテスト用に1個のマスク (フィットテストは マスクに穴を開けて実施するため、 再利用はできません) |
取替式 マスクの場合 |
いつも使用しているマスク、 測定用アダプター (測定用アダプターは マスクの型式ごとにご用意ください) |
その他 | 測定場所(会議室など)、 電源(AC100V)、水道水 |
注意・禁止事項
フィットテスト実施前の喫煙
呼気に煙草の粒子が含まれ、マスク内側の濃度が高くなるため、実施前の喫煙は禁止です。
くちひげ、ほうひげのある被験者
マスクと顔にすき間ができ、正確な測定ができません。