調査・解析業務
ニッケルめっきは電子部品や意匠性めっきなど様々なところで利用されています。その中で、光沢性を付与するために以下に示す光沢剤等を1%以下の濃度で添加して使用しています。
- 一次光沢剤:結晶を微細化して光沢をもたせる
- 二次光沢剤:小さな凹凸を埋め、表面を平滑化させて光沢をもたせる
- ピット防止剤:窪みの原因となるめっき被膜上の水素ガスを離れやすくする
これらの成分はめっき液の中では低濃度であることと、適正濃度の範囲が狭いことなどから濃度管理を難しくしています。環境アシストでは、各光沢剤の中で以下に示す成分の定量分析を可能にしました。
- 一次光沢剤:サッカリンナトリウム
- 二次光沢剤:ブチンジオール
- ピット防止剤:ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)
一次光沢剤:サッカリンナトリウム
サッカリンナトリウムの濃度を段階的に調整したニッケルめっき液を用いて、LC-MS法で分析を行いました。
分析の結果、相関性が高い検量線が得られ、サッカリンナトリウムの定量分析が可能であることが確認されました。
またサッカリンナトリウムが分解したと考えられる以下の物質が、LC-TOFMS法によって確認されました。
⼆次光沢剤 ブチンジオール
ブチンジオールの濃度を段階的に調整したニッケルめっき液を⽤いて、LC-MS法で分析を⾏いました。
分析の結果、相関性の検量線が得られ、ブチンジオールの定量分析が可能であることが確認されました。またブチンジオールは電気めっきによって以下の物質に分解することが確認されました。
またブチンジオールは電気めっきによって以下の物質に分解することが確認されました。
環境アシストでは、LC-MS法によって⼆次光沢剤と分解⽣成物を分離できるため、分解⽣成物であるブテンジオール、ブタンジオールの定量分析が可 となりました。
ピット防⽌剤 ドデシル硫酸ナトリウム
ドデシル硫酸ナトリウムの濃度を段階的に調整したニッケルめっき液を⽤いて、LC-MS法で分析を⾏いました。分析の結果、相関性の⾼い検量線が得られ、ドデシル硫酸ナトリウムの定量分析が可能であることが確認されました。
環境アシストでは上記に⽰した添加剤について、定量分析に対応しています。ただし、めっき液はその⽬的に応じて様々な成分で建浴されることがあります。これら他の成分の影響によって測定が困難な場合もあります。そのため、環境アシストでは事前に定量分析が可能かどうかを検証させて頂いてから、分析のご依頼を頂いています。めっき液の濃度管理でお困りであればご連絡ください。